2011/02/10

オープンガバメント研究会のブログを開設しました

国際大学GLOCOMでは、2010年度の自主プロジェクトとして「オープンガバメント研究会」を運営してきました。これまではごく限られたメンバーによる小規模な活動としてきましたが、今後はこのブログ等を通じて研究成果を広く公表し、日本におけるオープンガバメントの推進や、オープンガバメントに関する研究の発展に貢献していきたいと考えています。

研究会の活動を統括しているのは私(庄司昌彦:国際大学GLOCOM 主任研究員)です。私は2002年にこの研究所の研究員となって以来、電子政府や地域情報化など、ひとことでまとめれば「eデモクラシー」を研究テーマのひとつとしてきました。特に「地域SNS」と「地方自治体のIT調達」については、長期間、調査研究に携わり、数多くの論文や記事を執筆しています。

この研究会に至るまでの直接の経緯としては、2009年6月、米国に出張した際にブルッキングス研究所でダレル・ウェスト副所長にオバマ政権のIT政策やWeb2.0技術を使った政策過程の変革についてお話をうかがっ たことが原点となっています。2009年当時は、梅田望夫氏の「日本のWebは残念」という発言に代表されるように、日本では、ICTが政治経済などの(サブカルチャー以外の)領域では力を発揮できていないと考えられていました。

eデモクラシーの可能性に期待していた私も、インターネットを使い国民の声や知恵を集めて民主主義を高めていくということについては、半ばあきらめのようなものを持っていました。しかし、米国政府がそうしたことに本気で取り組んでいるということを耳にし、認識を改めました。

参考: ソーシャルウェアに対する日米の扱いの違いに驚いた (makolog)

そして帰国後すぐに、政権交代をかけた衆議院選挙が近づく状況の中で、「Twitterと政治を考えるワークショップ」の企画が持ち上がり、国際大学GLOCOMで開催しました。このワークショップは多数の参加者を集め、さまざまなメディアでも報道されました。(手前味噌ですが)このワークショップは、日本でICTが政治と関わりを深めるきっかけの一つとなったと思われます。

参考: Twitterと政治を考えるワークショップ (開催報告)
参考: Twitterと政治についての参考資料 (庄司発表資料)
参考: Twitterは政治や報道を変えるのか (ITmedia)
参考: [jp] 橋本岳衆議院議員、津田大介、山崎富美、3氏が「政治とTwitter」をディスカッション (Tech Crunch)

2009年10月には、オバマ政権の政権移行チームの一員として情報通信分野を担ったケビン・ワーバック氏(国際大学GLOCOMフェロー)を招き、GLOCOMフォーラム「ICT、社会変革、オープンなネット参加 ~オバマ政権の構想と日本の可能性~」を開催しました。またこのイベントの報告と関連論文を集めた機関誌『智場』も発行しました。

参考: GLOCOMフォーラム2009「ICT、社会変革、オープンなネット参加 ~オバマ政権の構想と日本の可能性~」
参考: 『智場』115号(特集:ICT,社会変革、オープンなネット参加)
参考: 「Twitter政治」は民主主義を増進するか (庄司昌彦)

さらに情報社会学会誌に、米国と中国におけるTwitterと政治の関係を考察した短い論文を発表しました。このように、2009年から2010年初頭にかけては「Twitterと政治」を中心にオープンガバメント周辺の話題を考えてきました。

参考: 「米中におけるTwitter 受容の比較と考察  −「多様な情報社会」が生まれるメカニズムの把握に向けて−」 (庄司昌彦)

つづく。

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